婚外子がいた場合の遺産分割

 

「婚外子」とは、結婚していない男女の間に生まれた子供のことです(法律上は、結婚している夫婦の間に生まれた子供を「嫡出子」と言い、これと対比する形で、婚外子のことを「非嫡出子」と言います)。結婚前の交際相手との間にできた子供や、不倫相手との間にできた子供などがこれに当たります。

被相続人に婚外子がいるケースで遺産分割を行う場合、どのような点に注意すればよいでしょうか。

 

1 婚外子の法律上の地位

 

婚外子も被相続人の子である以上、原則として嫡出子と同様の相続権を持っており、法定相続分も嫡出子と同じです。そして、遺産分割協議も婚外子を含めた全相続人が合意しなければ成立しません(婚外子以外の相続人だけで遺産分割協議を行っても、法的には無効です)。

被相続人に婚外子が存在するか否かは、原則として被相続人の戸籍謄本の記載を見ればわかります。それ故、遺産分割の準備として被相続人の戸籍謄本を取り寄せた際、その内容を注意深く見て、被相続人に婚外子が存在するか否か確認する必要があります。

ただし、被相続人が婚外子を認知していない場合は、たとえ生物学的に親子であったとしても、戸籍謄本上、被相続人と婚外子が親子である旨の記載は一切なく、法的にも婚外子は被相続人の子として扱われません。それ故、そのままでは、婚外子は被相続人の相続人にはなり得ません。

もっとも、認知を受けていない婚外子は、父である被相続人の死後3年間は認知の訴えを提起することができます。そして、裁判において生殖上の父子関係が認められ、裁判所が認知判決を下した場合には、その婚外子は父の子であると認定され、父の相続人としての地位を得ることになります。

では、婚外子の認知の訴えが認められるまでに、既に他の相続人によって遺産分割協議が成立してしまっている場合はどうなるのでしょうか。

このような場合は、法律上、婚外子から遺産分割協議のやり直しを求めることまでは認められていません。婚外子から他の相続人に対して、婚外子の相続分に応じた価格賠償(金銭の支払による精算)の請求を行うことが認められています。

 

2 遺産分割協議にあたっての注意点

 

婚外子も法律上は相続人である以上、前述のとおり、婚外子を除外して行われた遺産分割協議は法的には無効です。遺産分割協議に加わらなかった婚外子から、後で遺産分割協議の無効とやり直しを求められれば、せっかくの取り決めが無意味になり、紛争になってしまうおそれがあります。

そこで、遺産分割協議を行う際には、必ず婚外子にも連絡を取り、相続人全員で遺産分 割協議を行うことを心がける必要があります。もし、婚外子と直接話をすることが難しいという事情がある場合は、婚外子も含めた他の相続人を相手方として遺産分割調停・審判を申し立てることもできます。

また、被相続人の婚外子の存在が知られていない場合であっても、被相続人が種々の事情から、婚外子の存在を家族に積極的に話さずにいた可能性がありますので、遺産分割協議を行う前に被相続人の戸籍謄本等の資料を取り寄せ、念のため、被相続人に婚外子が存在しないか確認することも必要といえます。

もっとも、法律の専門家でない相続人の方々にとって、日常生活や仕事を抱えながら戸籍謄本をもれなく収集・精査し、その記載を的確に把握することや、話したことも会ったこともない婚外子に連絡することは、いずれも非常に負担が大きいことと言えます。そもそもどのような順序でどのように手続をどう進めて行ったらよいのかわからないという方もいるでしょう。

そのため、婚外子がいる可能性がある場合や、婚外子がいることが判明した場合、婚外子を名乗る人物から連絡があった場合などには、まずは相続の専門家である弁護士にご相談されることをお勧めします。

遺産分割の問題でお困りの方がいらっしゃいましたら、お気軽に当事務所にご相談ください