相続財産をめぐる利害関係の対立を最小限にして、早期の解決を図ることができた事例

依頼者:女性、40代後半、大阪市内在住

被相続人:依頼者の母

相続人:被相続人の子4人A・B・C(=依頼者)・D

主な相続財産:建物とその敷地(飲食店建物兼被相続人と依頼者の自宅)・土地(駐車場)・預貯金・貴金属・飲食店経営会社の株式

遺言書:なし

相談に至る経緯

被相続人とその夫(相続人4人の父)は、大阪市内で飲食店運営会社を経営。
会社所有建物(4階建て)に、飲食店店舗・被相続人夫婦の居宅・AとCの家族の居宅があり。
過去、被相続人夫婦が会社を経営してきたが、父が10年前に亡くなり、母は病気で身体障害があるため、最近はA夫婦とC夫婦が会社経営の実務を担当。
会社の株式(非上場)は、被相続人とA・Cが保有。
3年前からAが被相続人の成年後見人に就任し、財産を管理。
被相続人死亡後、財産を確認したところ、被相続人の死亡前にAが多額の預金を引き出していた事実が判明。その点を考慮した公平な遺産分割の実施を求めて、Cが相談に来所されました。

事件処理の経緯

弁護士より、受任通知を発送し、遺産分割協議を進めることを提案。
特に、遺産の多くの情報を有する相続人Aと連絡を密にとり、相続財産の情報の開示を得ることに成功。
得られた相続財産に関する情報を元に、当方から積極的に遺産分割案を提案。
最終的には、相続人を全員、被相続人の自宅に集め、弁護士が主導で協議をまとめた。

事件の解決内容

今後も、AとCは協力して会社経営に携わっていくことになるため、あまり感情的な対立を深めずに解決することを重視。
不動産については、飲食店店舗となっているため、売却は困難。遺産分割協議により、飲食店経営に今後も携わるAとCが同不動産を共有することにし、その他の相続人は現金を多く取得することにした。
遺産分割協議に伴い、曖昧なままになっていた不動産の使用をめぐる飲食店運営会社と不動産所有者(遺産分割後はAとC)の契約関係を明確にし、同社から得られる賃料収入をAとCが公平に取得できるようにした。
飲食店運営会社の株式は、会社の支配権等の紛争を新たに生じさせないように、会社が自己株式として取得するという方向で解決した。

所感

相続財産をめぐる利害関係が相続人ごとに大きく異なっており、また、相続後も相続人同士の人間関係を続けていかざるを得ないという事情があったため、依頼者のみならず、相手方となる相続人とも丁寧に対応することを心掛けました。その甲斐もあって、できる限り感情的な対立を最小限にして、早期の解決を図ることができたと思います。